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京都大学 医生物学研究所

2019年11月21日に京都大学ウイルス・再生医科学研究所第6回個体の中の細胞社会学 ワークショップを開催しました。

2019年11月21日に京都大学ウイルス・再生医科学研究所第6回個体の中の細胞社会学ワークショップを開催しました。

大阪大学大学院理学研究科西淵剛平博士は、「構成的ヘテロクロマチン構造の制御機構解明を目指した技術開発」として、人為的誘導が可能なヘテロクロマチン化モデル実験系の開発によって明らかになったエピジェネティックな遺伝子発現制御機構について講演された。細胞核内で凝縮構造を形成する染色体ヘテロクロマチンは繰り返し配列が多いゲノム領域によくみられ、近傍の遺伝子発現を抑制して染色体の安定化に寄与している。これまでの遺伝学ならびに生化学的な解析からヘテロクロマチンを構成・制御する多くの分子群が同定されてきたが、実はヘテロクロマチン構造は細胞核内で一様ではなく、その染色体上の位置に応じて異なる制御機構の存在が明らかとなってきた。博士は、ヘテロクロマチン構造の位置が遺伝子発現に与える影響とそれに関わる分子機能をより詳細に解析するために、いくつかの誘導系を組み合わせたレポーター遺伝子発現解析系を構築し、その実験系の詳細とヘテロクロマチン研究における有用性について紹介された。

京都大学ウイルス・再生医科学研究所の岡部泰賢博士は「境界から細胞社会を見る」として、組織常在マクロファージの機能と常在マクロファージの細胞機能を制御する新しい分子機構について講演された。血液細胞を構成する白血球の1分画としてマクロファージは、外来病原体の貪食や炎症性サイトカインの分泌などの免疫反応においてきわめて重要な細胞群である。一方、各組織常在性マクロファージは血液細胞とは異なる分子機構により各臓器・組織の恒常性維持に重要であることが明らかとなってきた。博士は、主に腹腔マクロファージを対象とした詳細な細胞表面マーカー分子ならびにRNA-seq解析から、組織局在性に分泌されたレチノイン酸を介するシグナルによって活性化されたGata6転写因子が常在マクロファージの機能発現に重要であること、組織傷害後の修復反応が常在マクロファージにより促進されることなどを明らかにされた結果を報告された。また、マクロファージがどのように腹腔内に局在するかについて現在進行中の研究内容についても紹介された。

これらの講演は分子・細胞レベルから組織レベルまで細胞生物学を広くカバーする内容であり、多くの参加者の興味を惹き、活発な質疑応答や意見交換が行われた。

 

西淵剛平博士

 

岡部泰賢博士